チャイルドドクタージャパンから支援の依頼

3年前のNHKの放送でチャイルドドクターの活動を知りました。

団体の趣旨に共感して以来、ずっと一人の女の子の医療支援をしています。

 

もし、このお手紙を読んで少しでも力になれるという方がおられましたら、チャイルドドクターのホームページから支援の申し込みをお願いいたします。

川満 由美子


チャイルドドクターの皆様、

 

ケニアからお便りしております、

チャイルドドクター・ジャパンの公文和子です。

 

今日は、長文のメールをお送りすることを、お許しください。本当に皆さんに知っていただきたい現実があるからです。遠いアフリカのかわいそうな子どもたちのことと思わないで、自分自身だったら、自分の子どものことだったら、と思いながら、読んでいただきたいのです。

 

チャイドク制度の中で、慢性疾患を持ったお子さんを支援するプログラムがあります。一言で慢性疾患と言っても、いろんな疾患がありますが、その多くは、脳性麻痺などの障害、遺伝病、心臓疾患など、医療費が直接命や生活の質に大きく影響するような疾患です。チャイドクがこのプログラムを開始したのは、2011年の初め。それ以来、人づてにこのプログラムのことを聞いたお母さんたちが、次々にクリニックを訪れ、この支援を受けられないかと尋ねてきます。このようなお子さんたちに対して、チャイドクでは、まず、ケニア人医師と私とで診察を行い、健康の問題を把握し、チャイドクの医療費支援により、子どもの健康や生活の質がどの程度改善する可能性があるのか、ということを調べます。また、障害を持っている子どもは、作業療法士が障害の程度やニーズを調べ、更に社会的な側面に関して、担当者が家族状況、経済状況、家庭環境などを聞いた上で、家庭訪問を行います。これらの情報を「慢性疾患委員会」にそれぞれが持ち寄り、優先順位などを話し合います。

 

現在、このプログラムで医療費の支援を受けているのは49人の子どもたち、そして、待機者リストには、次々に名前が加わり、人数が多くなり、把握しきれなくなってきた為、待機者としての登録もお断りせざるを得ない状況になり、待機者新規登録を留め置きにしている状況です。慢性疾患コーディネーターのぺリスは、このことを以下のように語っています。

 

「私は、少し前まで孤児院の子どもたちの担当をしていましたが、最近、慢性疾患コーディネーターになって、本当に難しいな、と日々感じています。あまりにも、多くの子どもたちが、それぞれの子特有の問題を抱えて生きており、親御さんたちにとっても、この子どもたちを育てることが、どんなに大変なことだろう、と思うからです。親御さんたちは、慢性疾患を持った子どもたちに必要な特別な注意や食事や医療費を支払わなければならないし、その子以外の子どもたちの面倒もみなければなりません。そして、病気や障害を持った子どもを24時間ケアするために、仕事に就くことができない、経済状況は更に悪くなる、という悪循環です。

 

運よくチャイドクで支援を受けることができている子どもたちは、本当に幸せです。でも、現在待機者リストに載っている63人の子どもたちは、一体どうなってしまうのでしょう。

 

例えば、今週こんなお母さんに会いました。1歳2ヶ月の障害をもつ子どものお母さんでしたが、経済的にもかなり苦しく、どこの病院でも医療費が払えなくて、診療を受けることができないのです。でも、私の方から、現在、支援者の数が足りなくて、お子さんを支援することはできない、とお話したところ、怒りと悲しみとで泣き崩れ、この子がこんな思いをするのを何もできずに見ているくらいなら、今すぐこの子を殺して、自分も死んでしまいたい、と言うのです。でも、私たちにできることは、このお母さんをカウンセリングに連れて行き、この子のアセスメント(待機リストに入れるかどうかを決める医師による診察)をする予約を入れてあげるから、となだめることしかないのです。アセスメントを受けたからといって、支援が受けられるわけではないことを知っていながら、そうすることしかできませんでした。

 

私はこんな子どもたちとその家族と毎日向き合っているのに、できることは限られているのです。もし、皆さん御自身やお友達、親戚などで、こういうお子さんたちの支援をできる方々がいらっしゃいましたら、紹介していただきたいのです。この子どもたちが生きていけるように、人生が変わるように、そして、そのご家族が鬱や怒りや痛みから解放されるようにしてあげたいのです。」

 

この待機者リストの子供たちの中には、既に2年近く待っている子どもたちもいるので、先月(2013年9月)に、全ての待機者たちと連絡を取り、再度アセスメントを行いました。チャイドクで支援を受けて、殆ど普通の子どもと同じように生活ができるようになった、いっぱい笑顔が見られるようになった、ご家族が生きがいを持つことができるようなった、といううれしい経験をたくさんしている私たちですが、この待機者の再アセスメントでは、本当に大きな痛みを感じました。支援を受けられなかったために、既に亡くなってしまっているお子さんも沢山いました。また、多くの子どもたちや家族の状況は、一回目のアセスメントの時よりも悪くなっているのです。お金がなくて、抗痙攣剤を買えないために、痙攣をしょっちゅう起こしており、脳の障害がますます悪くなっている脳性麻痺の子供たち、親が忙しくて子どもについてあげることもできない、リハビリも受けられないために、寝たきりで過ごしていて、硬直がかなりひどくなっている脳性麻痺の子どもたちもたくさんいました。手術が受けられなくて、既になくなってしまった、と言う子どももたくさんいます。

 

私は、一人ひとりの命が愛されるために、大切にされるためにこの世に送り出されてくると信じています。だから、この子達のことをあきらめていません。私自身も、小児科医として、また一人の母親として自分にできることを考え直す大切な機会をもらいました。このような子どもたちや家族の方々との出会いがたくさんあることも、心から感謝します。私と一緒に、今回このアセスメントに関わったスタッフたちも、共に喜び、心を痛め、それぞれができることを考えてくれています。また、私のスタッフから、皆さんにお便りが行くかもしれません。

 

ですから、皆さんにも、是非、一緒に感じていただき、覚えていただき、考えていただきたいと思い、長いメールをさせていただきました。チャイドクは、ドクターの皆さん、子どもたちとその家族、そして、私たちスタッフ、その他の人々が一丸となって、命を支えるプログラムです。これからも、心を共にして、一緒に子どもたちの命を支えていくことができれば、と思っておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 

チャイルドドクタージャパン ケニア事務所共同代表 公文和子(小児科医)

 

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